(前項から続く)―― 好きっていうのは?
基本的には結果のない物事をあれこれ好き勝手に議論することが好きなんです。研究って結局答えがないものだから、勝手にこうなればいい、とか議論するのがすき。学生との議論なんかとても楽しいです。
―― 研究者としての夢はなんですか?
学生の頃はノーベル賞って言ってたけど、いまはイグ・ノーベル賞とか考えてます。半分冗談ですけど(笑)やりたいことは、これまででシミュレーションを自然科学分野でずっとやってきたので、他の分野でもいろいろやってみたい。社会の中の文系、経済みたいな。そういうので、世の中の色々なことをシミュレーションしてみたいです。
―― 私もそれやりたいです(笑)もう少し具体的な例を挙げてもらえますか?
例えば怪我や事故がありますね。社会に直結するような、例えば事故を減らすためのシミュレーションも可能なのではないかと思います。事故が起きて、事例をまとめて注意を喚起するというのではなく、もっと根本的な原理をもシミュレーションできるかと。”脳の中でこういう風にはたらくから、こういう行動を起こす”という風にシミュレーションできれば面白いと思います。
―― 高羽さんは分野(化学工学と膜化学分野のシミュレーション)のパイオニアだときいています。
そうですね。世界で5本の指には入ってると思います、いやうそをついているかもしれません(笑)やり
始めの時は本当に、文献検索をしても何も出てきませんでしたから。
―― コロラド鉱山大学が進んでいたわけではないのですか?
コロラド鉱山大学の研究室は実験のグループでしたが、僕はシミュレーション分野です。化学工学分
野のシミュレーションでは、特にアメリカが進んでいるということはありません。 |
―― シミュレーション結果の正確さはどうやって測るのでしょうか?
シミュレーションをしている立場からすると、根本的な量子、分子論からシミュレートしているわけですから、結果が正しいかどうか、というエバリュエーション(評価)は気にしていません。ただ、工学系ではそういうわけにはいかないので、常に実験結果と確かめ合うことが求められるんです。シミュレーションだけで実際に”もの”ができるわけではないけど、シミュレーション結果を利用して別の人やグループがものづくりをすすめていくので、ものづくりに役立っているといえると思います。
―― 今月は海外出張が2件もあったんですよね。お忙しそうですが大丈夫でしょうか?(笑)
大丈夫です。楽しくやれればいいかなと思ってます。
(終)
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