#1. 高羽洋充 准教授

第1回目は、宮本研究室の1期生でもあり、現在は准教授として他メンバーを牽引する高羽准教授にお話を伺いました。

インタビューアー:小原幸子(技術補佐員)
2009.11.6up

 

 

――高羽さんは宮本研究室の一期生なんですよね?

 

はい。宮本先生が東北大に着任した時に、バイオの研究だと噂をきいていたので選びましたが、バイオのバの字もやってなかった(笑)一期生だったので色々と任されて面白かったというのもあり、そのままドクターまでいって98年に修了しました。その後東大の化学技術専攻の中尾先生の下で助手として働きました。膜に関する研究はドクター時代から始めたんです。膜分離工学というのはガスや蒸気を分離させるのですが、最近では水処理とか、海水の淡水化、蒸発させるのではなく、通すと真水だけが出てくるっていうのがあって、そういった膜に関する研究を東大でもやってましたね。教授の薦めもあって、膜分野で著名な先生がいるコロラド鉱山大学で1年間研究しました。

 

 

――英語はその時にマスターを?

 

度胸はつきましたね。基本的に通じないんですが(笑)、頑張って話すと相手ががんばって理解しようとしてくれるんですよ。会話はたよりないですが、書く方は上達したと思います。アメリカ滞在時は自分の研究に集中できましたし、とても楽しく過ごせました。コロラドは年間300日快晴で、自然環境も良かったです。


――その後仙台に戻られたのでしょうか?

 

直後は東大に戻り、3年いて、2006年に宮本研に准教授としてきました。


――東大時代はシミュレーションというより、実際に膜を生成していたのでしょうか?

 

(実験とシミュレーションの)両方をやっていました。実験をやるとうまくいかなく、シミュレーションの方が簡単だったので、こちらでやっていこうかなと思って(笑)当時はシミュレーションをしている理学系の研究者はいましたが、化学工学系ではほとんど誰もやっていなかったんですよ。なので、宮本先生の存在はとても大きかったです。非常に感化されました。


――現在の仕事内容を教えてください。

学生の指導、研究室のマネージメント、それと自分の研究です。最近では電池のシミュレーション、そして昔から続けている膜関係のシミュレーションですね。電池系のシミュレーションも結局は膜系のシミュレーションと同じで、何が動いているが違うだけですから。膜だと水同士、イオン同士で、電池系だと電子が動いてるってことなんです。面白いのは動きのある拡散で、膜はあるものは透過して、あるものは透過しない。拡散速度の違いでものをわけるんです。速く動くほど透過するということで、電池の場合はその動くものが目でみえない分子原子とか、プロトン、電子になるだけなんです。

――実際シミュレーションで大きさと拡散の違いははっきり出るのですか?

 

でますよ。でもシミュレーションの方法が違っていて、分子とか分子動力学法でやりますが、プロトンとか、電子とかの動力学のは量子論なので、ちょっと方法論が違うんですけど、でもやりかたは基本的には同じです。

 

――高羽さんは何を思って研究している(笑)、というか、研究している理由、研究を続けるモチベーションは何ですか?

 

研究は面白いので。大変ですけど(笑)、基本的には面白くて好きなんです。(次項に続く)

 

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